私が常に思うのは、ロータリーがボランティアによる団体であり、その会員すべてが指導的立場にある人々であることを忘れてはならない点です。そのような人々を前に話すとき、説き伏せたり、要求したりすべきではないと思っております。すべてのロータリー・クラブは自立した存在であるべきであって、国際ロータリーのシニアリーダーの役割は統制することではなく、意欲を喚起し、導くことです。私たちは、世界中のロータリアンとロータリー・クラブに仕えるために、ここにやって来たのです。信頼を寄せてくださったロータリアンの皆さんに、私たちもまた信頼を託さなくてはなりません。
地区ガバナーとして、皆さんは今、人生の中でも最も実り多くやりがいのある年を迎えようとしています。地区は皆さんに何を期待しているのでしょうか。まず第一に求められ、また発揮しなければならないのが、リーダーシップです。それぞれの地区でロータリーのリーダーとなる皆さんには、当然のことながら大きな責務が課せられます。
ロータリーの要はクラブですから、皆さんは地区内のクラブ会長に対して責任があります。私たちが成すこと、達成することのすべては、クラブから始まります。優れたクラブ会長のいるところには、必ず優れたクラブがあります。地区における皆さんの責務はクラブ会長とともに始まるのです。 また、皆さんがボランティアとして地区ガバナーという職務に就くことを選んだように、地区の全クラブのロータリアン一人ひとりもロータリアンとなることを自ら選んだボランティアであることを忘れてはなりません。ボランティアと接するとき、命令することはできません。だとすれば、皆さんの権限は一体どこにあるのでしょうか。それは意欲を駆り立て、導く、皆さん自身の力にあります。皆さんの考え方や機転、人の話に耳を傾ける力、意志の疎通を図る力にあるのです。行動をもってこそ、周囲からの敬意が寄せられるのです。
ドワイト・アイゼンハワー元米国大統領は、かつてこのように言いました。「指導者としての最高の資質とは、紛れもなく高潔さである。この資質なしに、本当の成功はありえない」ロータリーでは、皆、この言葉が真実であると知っています。ロータリアンとして、私たちはその価値観を高らかに宣言し、それに忠実に生きなければなりません。